医療の話

アルツハイマー病の新規治療薬レケンビ(一般名:レカネマブ)に関して

2023年12月に新しい認知症の薬であるレケンビ(一般名レカネマブ)が発売されました。

これまでの薬と違って認知症の原因となる脳内に貯まったアミロイドβというタンパク質を除去することによって症状の進行を直接抑制する効果が期待出来る画期的な薬です。

その効果に大変期待が高まるとこですが、この薬の投与には、患者さん側や医療機関側それぞれにいくつかの条件があります。

【患者さん側の条件】

・本人および家族・介護者の治療意思がある方(副作用であるARIAを理解し、2週間に1回の点滴に18か月通院でき、費用負担できる方)

※費用:200mg 4万5777円、500mg 11万4443円 (体重50kgの方では、薬価のみで月に約23万円かかり、自己負担額(3割として)は約7万円となります。自己負担額が規定を超えた場合は高額医療制度が使えます。

・認知症の症状が軽度の方

(MMSEスコア22点以上 CDRスコア0.5または1)

・アルツハイマー型認知症であることが証明された方

(アミロイドPETまたは髄液検査などの承認を受けた検査方法で確認する必要があります。)

  • 頭MRIで脳浮腫や出血がない方

 微小出血はあっても5個未満となっています。理由は副作用(ARIA)が起こりやすいためです。

※ARIA:amyloid-related imaging abnormalitiesアミロイド関連画像異常とは、、

アミロイドβが関与して起こる特徴的なMRI所見で、脳浮腫と出血があります。約20%ほどの患者さんで起こる可能性があり、そのうちの約4%の方に症状(頭痛、錯乱、視覚障害、めまい、吐き気、歩行障害、けいれん、てんかんなど)が現れると言われています。

残念ながら当院は、医師の人数やMRI機械の規格などの面で施設基準を満たせていないので、当院で投薬治療を行うことはできませんが、治療可能な医療機関に検査や治療の紹介を行うことはできますので、気になる方はいつでもご相談ください。